Aegis Ashore land-based missile defense system それぞれの立場で

地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の適地調査報告書について、地元紙が、報告書に事実と異なるデータが記載されていることを指摘、全国的なニュースになりました。

6月5日の朝刊を読んだ時真っ先に思い浮かんだのは、自分の立場でできることに知力と熱と心を持って向かう人たちの存在でした。

秋田の新屋という住宅地に近い場所が突如「配備適地」として浮上し、予定調和のように事が運んでいるようだという疑問は、一般的なものだと私は思います。地元紙は「なぜ他の場所が不適か」という観点から調査書を調べ、事実との相違点を見つけ、配備適地という結果は初めから決定していて、後付けの調査報告ではないのか、それはなぜか、に迫っています。

「イージス・アショア導入の是非」ではなく、「なぜ住宅地に近い秋田の新屋が適地」なのか。インフラ的に見れば好都合かもしれませんが、人がいるからインフラがいいのであって、そこに暮らす人への関心が薄いなぁ、田舎はなんとでもなると思われているのかなぁ、なんて悲しくなってしまいます。「適地」という言葉の持つ印象も気になります。突然自分の暮らす土地が、軍事的システムを配備するのに「適地」と言われているので、地元は複雑というか当惑、なんじゃないでしょうか。もし本当に配備されたら、有事ではなくても日常に変化が起きないわけはなく、漠然とした不安を持つのは自然だと思います。観光地化してしまうとか、国からお金をたくさんもらうとか、経済合理性的にOK!としていいのかもデリケート…。そもそもが、やっぱり、「なぜここ??」なんですよね。

その感情を、記者たちは感じているのではないかと思うのです。むやみに反対を唱えているのではなく、地元の人のもやもやを掬い取り、丹念に調査し編まれた記事だったのではないかと。国に対して「権力がある分、人に配慮して、尊敬できる仕事をしてください。私たちもちゃんと仕事します。」というメッセージが込められているようにも感じます。

無論、みなそれぞれの立場でちゃんと仕事をしているんだと思います。国防省の人たちは、職責を果たすために、感情を抑え、ぎりぎりのところで形式的な言動にならざるを得ないのかもしれない。日々物凄いプレッシャーの中で自分の精神が参らないようにコントロールしながら、国・国民の安全と利益を守る仕事をしているのかもしれない。それは一般感覚とは異なる類のものかもしれない。そうだとしたら、一般人はなおさら説明と心がほしい。もしかしたら、別の道が見つかるかもしれない。

何かを批判しようとしているわけではないです。一連の報道を通して、「仕事の可能性」というものをしばらく考えた週でした。


6月7日時事通信

Akita, June 6 (Jiji Press)--Japan’s Defense Ministry has shown the Akita prefectural government flawed survey data over the planned deployment of an Aegis Ashore land-based missile defense system in the northeastern prefecture, according to ministry officials.

Defense Councillor Masaki Fukasawa visited the prefectural assembly Wednesday to explain that the data contained nine mistakes.

The problem “seriously damages” the relationship of trust between the prefecture and the state, Governor Norihisa Satake said in a statement.

The ministry plans to deploy a radar-equipped Aegis Ashore unit in the Ground Self-Defense Force’s Araya training area in Akita, the capital of the prefecture.

On May 27, the ministry told the prefecture that 19 possible sites other than the Araya training area were unfit for Aegis Ashore deployment.

https://www.nippon.com/en/news/yjj2019060600288/flawed-data-shown-to-akita-pref-over-aegis-ashore-deployment.html
[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

6月7日NHK World

Aegis Ashore: Akita city wants renewed explanation
The city of Akita in northern Japan is asking the central government to further explain how a site in the city was chosen for deploying a new missile defense system.

The call comes after Defense Ministry officials apologized on Wednesday to the prefectural and city assemblies of Akita over faulty topographical data it presented for its planned deployment of the Aegis Ashore system.

The ministry had used the data as a basis to argue that the Ground Self-Defense Force’s Araya Training Area in the city is the only suitable site for the deployment, and that 19 other state-owned sites in the Tohoku region are not.

Akita City Mayor Motomu Hozumi told Thursday’s session of the city assembly that the case threatens the credibility of the ministry’s survey and decision.

Hozumi said he asked the ministry to reexamine the data and further explain to the city.

The head of a group of residents near the training area, Masashi Sasaki, said it’s a serious problem that undermines public trust in the ministry.

He said things should go back to the very beginning, and called on the ministry to clarify why it thinks Araya is the only suitable place.

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20190606_37/

イージス・アショアについて知恵蔵miniの解説
弾道ミサイルに対する迎撃システムを持つ海上のイージス艦と同様の機能を持つ施設を、陸上に配備したもの。大気圏外を飛行する高速の弾道ミサイルを追跡する高性能レーダーと、日本国内に向かってきたミサイルを撃ち落とす迎撃ミサイルからなるもので、米国が開発した。イージス艦の場合、日本全域を防護するには3隻必要とされているが、イージス・アショアではレーダーと迎撃ミサイルの高性能化が見込まれるため、2基で防護が可能になるとされている。海上に展開するイージス艦と比較して人的負担が少なく、運用態勢を整えやすくなる利点もある。政府は秋田県秋田市と山口県萩市に1基ずつ配備する計画で、2023年度の運用開始を見込んでいる。
(2017-12-20)

Weblioより
イージス・アショア
別名:陸上型イージス、地上イージス、陸上イージス
英語:Aegis Ashore

地上(陸上)に配備されるイージスシステムの呼び名。イージス艦が搭載する迎撃システムを、艦艇ではなく地上の設備として設置したもの。ちなみに「アショア」(ashore)は岸、浜、陸地といった意味の英語。

イージス・アショアはイージス艦のミサイル迎撃システム部分をそのまま陸上に移設した形となるため、1基あたりの設置コストは抑えられ、ミサイル迎撃能力はイージス艦と同等、艦艇の運用や整備が不要となる分だけ迎撃態勢に移れる時間が多くなる。地上に据え置かれるため移動できないという難は生じるが、迎撃可能な範囲はTHAADよりも広いとされ、少数でも広範囲をカバーできるという。

2017年8月半ばには、いわゆる北ミサイルの脅威の高まりを背景に、防衛省がイージス・アショアの導入に踏み切る方針を固めたと各メディアが報じている。
(2017年8月17日更新)