※2020年7月の感想です。
※2021年4月実際に見ての感想はこちら→新しい中学校英語教科書届く!
中学校英語教科書のひとつ、『NEW HORIZON』は平成28年度(2016年度)から使われています。イラストが随分現代的になったと話題にもなりました。私にはそれほど遠くない過去ですが、またまた来年度、変わるんですね!新学習指導要領が中学校で完全実施されることによるそうです。
市報で教科書展示の案内を見つけ、生涯学習センターまでバスで出かけてきました。
実物を見たところ、まずサイズが大きいです。そして教科書構成の日本語文字が大きいです。学びの目的を明示することを意識しているのかもしれません。
「Can-doメソッド」は中学1~3生向けNHKラジオ講座を思い出させもしました。何らかの合意のもとで、ラジオ講座が学校英語に先んじ、より体系的で運用力を高める作りになっているのでしょうか。(ラジオ講座を毎日聞いて理解して練習したら、かなりの力になるでしょう)。
そして、現在高校で学ぶ内容の一部が入ってくるようです。
小学生は一足早く、今年度から教科書が新しくなっています。東京書籍の教科書を採択している小学校では、5、6年生は既に『NEW HORIZON ELEMENTARY 5(あるいは6)』を使用しているはずです。
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<小学校英語について>
現場の英語教育関係者はこの数年、大きな変化の中にいることを実感していると思います。毎年のように小学英語の指導内容が変わり、今年度からは小学校5年生以上は英語は「教科」になりました。
教科になり変わったことは具体的に二つ
・習う範囲や量が明確になった
・テストが行われ成績が残るようになった
生徒の皆さんが恐れることはないと思います。語彙と話題次第で、小学校のうちに、今の中1~中2の文法を履修することは十分可能だと思います。
むしろ「中1で正真正銘初めて英語を書いたり読んだりする勉強をします」という子は、とても大変だったのではないかと思うのです。小学校英語は「外国語活動」とされていたので、学校によって焦点は様々でした。外国語の理解と定着が目的ではなかったことは確かです。それ自体が悪いわけではないのですが、なんとなく外国語(ほぼ英語)を勉強していると思っていたら、中学校では求められるものが違い、戸惑う子もいたはずです。
アルファベットや基礎中の基礎の文法を、ごく簡単な内容で、小学校のうちに学ぶ方がいいというのが私の考えです。小学校からきちんと英語を「学習」することは、公平性の面からも大事だと思います。(ひとつ注文をつけるとすれば、テストは差をつけるためのものや、枝葉末節を問うものではなく「記憶定着のため」に行われてほしいです。)
<中学校英語>
小学校英語が変われば、中学校の英語も変わり、「使う力」をより意識するようになったように思います。それに伴い、「話している内容自体は難しくないけれども、扱う語彙と文法が増える」ことになるようです。
具体的には「現在完了進行形」と「仮定法」が、中学校で扱われるようです。語彙と文法の増加により、つまりは「英語全体の難度化」と捉えられなくもないです。ただ当事者である中学生は比べられないし、小学校英語も変わるので、当事者がどう感じるのかは未知数です(後日付記:2021年新2年生、3年生は苦労するかもしれない)。
また義務教育が「使うための英語」に舵を切ったのであれば、「使う練習」が不可欠です。子どもたちの力を引き出そうと工夫が重ねられるだろうと思います。実技部分に対しても学校でどんな取り組みがあるのか、注目していきたいです。
義務教育では他者との比較ではなく、「こういうことを理解できて、こういうことを英語で言える」という、各々が有用性を感じられるような教科になってほしいと思います。
<高校英語>
高校は義務教育ではないので、それぞれ違って当然でしょう。現在もその高校により特色ある英語の授業が行われているのではないでしょうか。一般的な進学校についていえば、学習内容は大学受験と密接に関わりながら変化していくのでしょう。去年はスピーキングテストの導入で論議を呼びました。私の意見としては、共通テストでの導入はせず、本当にその大学が生徒の英語の話す力を評価したいなら、面接をすれば良いと思います。
<結論>
・義務教育では年齢に応じた英語の基礎と、使うことを意識した学習
・高校ではそれぞれに必要な実用英語+教養英語の学習
という流れになっていくでしょうか。