公立校のチャレンジ

2月7日のNHKあさイチは、民間出身で横浜市の中学校校長を務め、現在は広島県の教育長を務める平川理恵さんがゲストだった。

彼女が主導する「公教育を変えていくこと」も、彼女自身の「現場を見、吸収して自分の行動に繋げる力、周囲を巻き込める力」についても、興味を惹かれた。
https://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/200207/1.html

公立小中学校における教育改革について、キーワードがいくつかあった。

「教育(方法・環境)の選択を増やす」「好きなことの探究」「学校は家庭ではできない社会性を学べる場所」「多様であること(私としては、ひとつではないことと言いたい)が大事」等。

「教育の選択を増やす」の具体例は:
・生徒同士が教え合う(教師に聞くのももちろんOK)
・一人一人違う学び方、違う進度の学習
(パソコンやiPadを使っても、誰かに聞いても、ペースが違ってもよい)
・ソファや床など、好きな場所で勉強してよい
・異学齢での学び合い
・図書館は生徒の本当に読みたい本を増やす。レイアウトを変え寛ぎの場所にする。
・学校内にフリースクールを設け、週3回の通学、午後からの通学、農作業だけの参加など、その子が「通学できる通学形態」での通学を認める。

一言で言うと自由度が高い。その分自律性も求められる。教師は、自由度と学習意欲を維持する力量が、今以上に必要になるだろう。

これらの試みは広島県に限ったことではなく、各地で特色のある教育方法が開拓されている。従来の枠組みの中で工夫を重ね、見事な授業をしている先生たちは数多いと考える。

しかしというべきか、放送の反響は大きかったようだ。番組中に寄せられたメールやファクスの量が約2000通だったそうだ。好意的なものばかりではないだろうが、視聴者の漠然とした不安や不満、疑問に対して、学校レベルで大規模な変化を促していることに、斬新で積極的な「関与」を見たからではないかと思う。

よく言われることだが、社会は全体として豊かに、論理的になっているように思う。家族も、性別も、働き方も、従来のモデルのみではなくなった。一つの規範や方法を「正解」として従うことには抵抗感が生じやすい。

今回は、教科の学び方を軸として、今の時代の学校の在りかたに学校全体が取り組んでいることに、視聴者の気持ちが動いたのだろうと思った。

試みによりたとえ何らかのマイナス面が出てくるにしても、よく見て動いていくしかないだろうし、その覚悟でいると信じたい。

番組を見ながら本『みかづき』の一節を思い出していました。
「教育というのは、満ちることのない月のようなもの。」

『みかづき』はストーリーや構成が巧みで純粋に面白く、学校や塾の歴史を知る一助にもなった本。娘にプレゼントされたこともあり、大事な一冊です。